八ヶ岳「赤岳」山歩き(その3)

7/20(木)〜21(金)山岳部:カネヤン

  

地蔵尾根の階段と お地蔵さん

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山組報告、その3、です。
いよいよ7月21日(金)です。
AM4:00   と、いってもなんとなく皆その前に目が覚めていた、ようだ。
       蒸し暑く、寝苦しい時間でした。暖房が効いていたわけじゃない。布団が重かった、わけでもな  
      い。狭い部屋での人の息だまり、酸素不足かな。
      寝れなかったよ〜〜ふぁ〜あ。いびきの競演だったよ〜〜ブツブツ、云々。目覚まし時計なしでもそ
      れぞれごそごそ動き始め、起床時間に決めていた4:00前には全員起き出した。ゴリケンもなんとな
      く大丈夫、かな。

      外はまだ暗い。
      今日の天気は?と窓から空を見上げるが暗くてわからない。目指す山の稜線はうっすらと見える。
      と、窓の外に数人が頭にランプをつけて山に向かって歩きはじめているのが見える。さあ、我々も行
      動開始だ。

      顔を洗う。歯を磨く。トイレに行く。ん?澄子さんと真理子さん隅っこでなにかゴソゴソ。こんな山
      でお化粧でもあるまいに、と思いきや日焼け止めクリームを塗ている。ザックの整理。ガサッ、ゴ
      ソッ、静かに行動開始。周りはの部屋はまだ静か。
      出発には早すぎる、と朝食に準備されたパンとジュースを出して腹ごしらえをする。

AM5:20  小屋の前に出る。明るくなってきた。山で見るいつもの朝。
      稜線がくっきり見える。遠く山には朝靄がかかっている。木々のみどりも目が覚めたばかり、という
      雰囲気。気持ちのよい朝だが空気はまだ、重そう。気が付けば結構の人たちが準備に忙しくうごめい
      ている。

      荷物を整理し、女性陣2人分のザックは置いて行くことにした。2人が手ぶら、こりゃラクダ。男性陣
      も不必要なものは置いたので幾分楽。

      さあ、出発。
      改めて今日目指す赤岳の山を、稜線を見上げる。すこし、緊張。
      小屋の裏手から回り込む。コースは「地蔵尾根」だ。
      コメツガ、シラビソの林の中を歩き始める。焦げ茶色の土の感触が気持ちいい。くねくねした山道。
      結構急な登りが続く。最初の20分はまったく視界がきかない。

      歩き始めて20分。ダケカンバの木が目立つ。
      ようやく一回目の休憩。先頭のゴリケン、結構ばてているようだ。文子さんも疲れている。トンチャ
      ンと澄子さん、まったく疲れがなさそう。
      登ってきた道を振り返る。行者小屋が足の下、ずっと下になっている。急な登りだったことがわか
      る。遠くの山々が朝の光に輝くようになってきた。朝の一番いい時間かもしれない。ところどころで
      朝靄が幻想的な絵を描く。

      真理子さんから配られたあめ玉が美味しい。
      さあ、出発。
      フト足下に目をやると小さな黄色い花が咲いている。ゆっくり観察する時間はないが疲れた気持ちが
      救われる。草木に付いた朝露が美しく輝いている。高度のせいだろうか、細い葉のさきにかがやく水
      滴がやけに大きい。

      だんだん木々も背が低くなる。ハイマツや背の低いシャクナゲが生えた岩場に出る。と、すぐに急な
      崖。鎖場になる。垂直の崖には鉄製の梯子。緊張の声が女性陣から出る。いよいよ、問題の場所だ。
      時々、下ってくる人たちがいる。狭いところで待ってもらい、お互いに気を付けて、と声を掛けつつ
      ようやくすれ違う。ストックはまったく役に立たなくなる。両手をフル活用。持ってきた手袋が役立
      つ。
      みな、前を見、手で掴むところ、足の支えを探し、しながらの10数分、目の前の岩と上を見上げるば 
      かり。前を行く人の足の位置を見逃さないように、自分の足場をトレースしながら進む。否応なしに
      真剣そのもの。いま自分たちが登ってきた急崖を振り返ったりしない。そうほうがいい。なんせ、上
      から見ると足がすくむようだ。

      稜線はすぐ目の前だ。もうすぐ、だと勇気が出る。岩のゴツゴツは崩れそうな心配はなく安心。先頭
      をいくゴリケンと慎一郎から着いたぞ、の声。みなホットする。
      登り初めてから1時間15分。
      下から見上げてきた、そして萎縮もしたあの稜線に、いま立っている。
      横岳寄りの稜線上には小さな仏様が鎮座してある。ここが「地獄の頭」(地獄の仏)だ。
      まだ、小屋には着かないがあとはデコボコした岩を乗り越え、すり抜け、よけつつしながら、ものの5
      分で赤岳展望荘につく。

      今登ってきた長野県側は晴れている。足下、それもずっ〜〜と下、みどりの森の中に行者小屋が見え
      る。余りにも小さく、遠くに見える。さっき出発したところとは思えない。行者小屋から紐のように
      見える道をたどって目を右の方にターンすると、やはり深い緑の真ん中に別の小屋、それが赤岳鉱泉
      の山小屋。足下の鬱蒼とした森のみどりに中に点在しているようだ。
      目を上げる。遠くには雪を抱いた北アルプス、そして槍の穂先が見える。
      稜線の反対側。初めてみる山梨県側はガスでよく見えない。足下に広がる清里や野辺山のみどりの高
      原地帯は雲の下、だ。時間とともにガスが生きているように湧いてくる、流れる、迫ってくる。なに
      かとてつもない意思で突き動かされているようで、面白い。
時間は6:30。

      一時間余の急崖の登り。到着してみるとあっけない。
      気が付けばみなの話題は、足下の岩のすき間に咲くいろいろな高山植物に、遠くの山に、青く澄み
      切った高い空に、とつい先頃の恐怖は忘れている。自分たちの偉業?(ちょっと大袈裟。でも確かに
      そうなんだが、、)は過去のことなんだろう。

      赤岳展望荘。下で出会った登山者の話の通り、なかなか小綺麗な小屋で、女性陣も感心。ここなら泊
      まってもよい、との声。ここの裏手のテーブルに荷物を降ろして休憩。そしてまた出発。
      目指す赤岳は稜線の先、見上げればすごそこに見える頂上だ。
      ここからはハイマツさえ僅か、岩ばかりの登りだ。
      小さいが色鮮やかな高山植物が足下で見つかる。足がとまり目を近づけて観察。ロープを張った先に
      は色とりどりの花々が、お花畑になっている。

      崩れやすい岩ゴロゴロの登り。急な坂だ。
      そしてしっかりしたゴツゴツした岩場。鎖場も出てくる。が、今度はみな焦らない。狭い切り立った
      ところが続く。両脇は長野県側と山梨県側に落ち込んでいる。
      ここでは下山者も多い。賑やかな一角だ。展望荘に荷物を置いて身ひとつで赤岳に登って降りてくる
      人たち、別コースで降りてくる人たち入り乱れた一時だ。

 

 

 

 

 

 

 

赤岳展望荘 2722m より 赤岳を望む




7:20。皆の疲れがピークに達する前に、目指す赤岳の頂上、その北峰に到着!
      八ケ岳の最高峰赤岳2,899メートル、だ。(厳密には写真を撮ったすぐ横の南峰がそう)
      やった〜〜!そこは岩ゴツゴツの広い岩場になっている。大勢がたむろしている。まさしく360度の
      大パノラマが展開している。

      赤岳頂上小屋の屋根の上に作られた休憩用のテーブルで荷物を開く。(先にいた一人の登山者には追
      い立てる形になり申し訳なかった)
      大休憩だ。コーヒーを湧かす。クッキーが出てくる。話に花が咲く。お土産の花の写真集、バッジを
      買う。しばしのんびりとした山の上だ。(そういや、屋根の上で小屋の人だろう、若い女性が昼寝を
      していた、ネ)

      目の前には北側の八ケ岳の稜線が続く。
      数万年の風雪で掻きとられたような、切り立った岩の彫刻。さながら山水画のごとき横岳の岩峰、つ
      づいてそれとは正反対の、ゆったりしたなだらかな頂上の硫黄岳が続く。トンチャンが以前登ったと
      ころだ。
      その先には双子の綺麗な相似形した西、東天狗岳。ここは去年登ったところ。その先に目をやると稜
      線の一番北端、一人孤高の蓼科山。一望で見渡せる。
      ゴリケン曰く「この稜線を縦走するのは簡単じゃないようだ」

      南側には深い切れ込み(キレット)。その先にはこれまた勇壮な権現岳、その先は編笠山だろう、山
      並みが続く。
      その先にはうっすらガスの中だが、南アルプスの山々北岳、仙丈が岳、甲斐駒ヶ岳が続く。

      次にわれわれが目指す中岳、阿弥陀岳は?ちょうど西側になる。
      北峰からは見えない。

7:30 再び、出発。
      北峰の真横に南峰。といっても広い頂上の一角にある、そんな程度みたいなところ。しかしここが赤
      岳の最高峰、という。
      頂上を示す標識が立っている。交代で記念写真を撮る。
      目指す中岳がすぐ足下に、行く手の右側下に見える。われわれの行く登山道がクネクネ、はっきり見
      える。色とりどり、カラフルな服装の登山者が登ったり、下ったりしているのがよくわかる。阿弥陀
      岳はその先どっしり、一際大きな面して構えている。

      すぐさま南に向かって崖を下る。
      が、出発するその地点から急な、慎重を要する急崖だ。両手、両足をフルに伸ばし、しっかりと足場
      を確認し、一歩、一歩、まさしく這いつくばるように降りていく。
      これからがまた恐怖と慎重さの下りだった、、、、、、つづく。

あと、1回で終わることを祈る。
おつき合い、ありがとう。
00/08/03
かねやん 
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