カネヤンの茅が岳登山

1999/11/05

ところで、先日(5日)、山梨県韮崎近くの茅ヶ岳(1704m かやがだけ)に登ってきた。
この日は前日の雨とは全く違い、雲一つない快晴。朝の冷えこみに一瞬とまどい、秋の深まりを実感。時間とともに暖かくなり、風もない最高の登山日和。
茅ヶ岳、ここは知る人ぞ知る記念の山。「日本100名山」の著者深田久弥氏が遭難死した山だ。1971年3月21日、山頂近くの稜線でなくなったという。状況はわからないがそこに小さな記念碑が建てられている。

登山口から唐松林の中を歩く。とにかく人がいない、鳥のさえずりも聞こえず、木々のざわめきもない。静かな秋の一日だった。足下に広がる枯れ葉の絨毯を踏みしめる
ザッツ、ザッツ、ガサ、ガサという音だけが印象に残る。
木々の秋模様で山肌を一面衣替えを終わったようだ。茶色と黄色中心の山肌に所々ワンポイントの鮮やかな紅葉が目に焼き付けられた。

緩やかな登りは歩きやすい。足下の山道には落ち葉が下の岩肌と茶色の土を隠している。
秋の深まりと冬の到来が入り交じっている。
歩くこと一時間余、中間の休み場「女岩」に着く。どでかい岩の塊が行く手をふさぐ。
岩の下ではあっちこっちで水が滴り落ちている。飲料可能な水ということで記念に口にする。印象?まったく普通の味。(真夏の登山の時には救いの潤い水なんだろう)

岩を巻く形で急な登りが始まった。本格的な登りに汗がでる。木立の中のジグザグの登りは落ち葉でわかりにくい。これまた一時間余でようやく稜線にたどりつく。
ここで北側の展望が開けた。目の前にひろがる山影はこれぞ奥秩父という代表的な山姿、金峰山(きんぷさん)のトンガリ帽子だ。白く輝く岩肌が見える。これを中心に
両側に美しい稜線ががワ??ッと広がる。左のゴツゴツした岩の塊群は瑞牆山(みずがきさん)、右にはなだらかな国師ガ岳、奥千丈岳がつづく。

稜線歩きが始まる間もなくさらなる急な登り。記念碑の横を抜けて、低くなったそばの木々の枝をたよりに登る。登ること30分、ようやく頂上にたどり着く。

ここからの展望は間違いなく360度!ぐるりと見渡せる。
登ってきた南方面を振り返ると突然現れたように富士山がおおきく座っていた。今まで振り返る余裕がなかったのだ。韮崎の町並みはうっすらとかすんだ朝靄の中、その
向こうには南アルプス。甲斐駒ヶ岳、鳳凰三山など代表的な山並みが目の前に迫る。
西側には八ケ岳の鋸状の峰々が足下の甲府の町並みを隔てて隣にある。それまでの疲れはいつの間にか忘れている。

ゴロゴロした岩とぬかるんだ地面の頂上はのんびりするにはちょっぴり余裕がない。
片隅で昼食、コーヒーを飲んで疲れをとる。隣には老夫婦が座っている。
他には?なんと、犬が2匹!1700bの山の頂上に?物欲しそうに近づいてくる。
甲斐犬らしい灰色と茶色の雑種、飼い犬らしく首輪をつけている。2匹ともやせ細っている。危険な感じは全くなくそれどころか人なつっこい。残り物をあげるとあっと
いう間に食べる。少し落ち着いたようだ。
誰がこんなところに捨てたんだろう、と思っていると後から登ってきた人曰く、この犬は下の小屋の飼い犬らしいという。この犬たち、下山途中に我々を追い越して走って降りていった。

珍しいものを見たと思ったら更に後続の登山者がギターを担いできた。
そして、休む間もなく弾き始める。クラッシックギターの音色は静かな山頂に気持ちのよい一時を作る。なかなかの腕前。2、3曲お願いして弾いてもらう。最後は「禁じられた遊び」。だが、やはり疲れのせいか指がうまく動かない。
山頂の休憩に珍しい思い出を残してくれた。

1時間あまりの休憩後下山。同じ道を戻るが、登るときの景色とはまた違う印象を持ちながら歩く。
疲れもあり、時々休み、上を見上げる。強い陽の光がうす茶色、黄色の枯れ葉を透き通り、輝かせる。造形美にもなる一瞬だ。山肌の一角に陽があたり紅葉をいっそう際だたせる。毎年の見慣れた光景、とはいえ最高の秋に来たのかと自己満足。

帰りは韮崎の素朴な温泉「山田の湯」に入って帰る。
地元の柿とシメジがお土産だった。

途中でひろった落ち葉を送ります。
圧縮しないでそのまま送ります。少し重くなりますがゴメン。

99/11/8
かねやん

ホームに戻る 次へ