終盤に入った宮崎県知事選(21日投開票)で、自民党の三役が相次いで現地に入り、推薦候補の本格的なてこ入れに乗りだした。選挙戦は有力3候補が激戦を展開。結果次第では支持率が続落する安倍政権に打撃を与えかねないが、肝心の同党宮崎県連は「分裂状態」。党関係者は危機感を募らせている。
「美しい国の原点である宮崎には、頑張ってもらわないといけない」。15日昼、宮崎市の百貨店前。自民党の中川昭一政調会長は、安倍晋三首相のキャッチフレーズを引用して、元経済産業省課長の持永哲志氏(46)への投票を呼び掛けた。
14日には、丹羽雄哉総務会長が宮崎県医師会などの党支持団体に支援を要請。最終盤には中川秀直幹事長も現地へ行き、「三役そろい踏み」で必勝を期す構えだ。
12日から宮崎県内を回っている岩永峯一元農相は「統一地方選に勝つために、宮崎県知事選と北九州市長選は落とせない。党を挙げた天下分け目の戦い」と強調。だが、宮崎入りした別の党幹部は「盛り上がっていない」と不満を漏らした。
選挙情勢は予断を許さない。同党県連幹部の一部は持永氏でなく、元林野庁長官の川村秀三郎氏(57)を支援しており、自民支持層を両氏が奪い合っている。独自候補擁立を見送った民主党、社民党も川村氏で動く。さらに、元タレントのそのまんま東氏(49)が無党派層に浸透。川添睦身・自民党県連会長は「人気があるが投票には行かない、という考えは甘い」と東氏への警戒心を隠さない。
このため、「与党対野党の対決構図に持ち込む」のが自民党の戦略。持永氏自身も「ここで負けたら安倍政権に大きなダメージ」と街頭演説で強調。陣営は政権与党とのパイプを前面に掲げ、支持団体への働き掛けを強める方針だ。